新たな出会い、自分の初めて知る気持ち。
その全てを吹奏楽部で叶うことになるなんて……。
ーーコンコン。
「しつれーしまーす……やばい、みんなもう揃っているよ」
ホームルームが長引いたせいでほとんどの部活がもう始まっていた。遅れた私たちは、そーっと音楽室のドアをノックする。
先に中を覗いた華奈はみんな揃っていることにビビっていた。
「……ほんとだ。邪魔しないように座ろう……」
私もつられて中を覗き、キョロキョロと中を見渡す。ペコッと先生にお辞儀をして、角にあった椅子に座った。
思ったよりも人数がいてびっくり。
吹奏楽部員もたくさんいて、音楽室はぎゅうぎゅうだった。
「それじゃあ合奏を始めます。今日は一年生の見学者もいます。みんな、変に緊張しないように。課題曲の頭からやりましょう」
先生が時計を見て、始める前の一言を言った。そのことに部員全員が“はい!”と大きな声で返事をする。
その声はお腹からしっかりと出ていて、ビリビリと耳の奥に響く声だった。