私が、音楽の道に1歩足を踏み入れたのは6年前の中学一年生の頃。あのころは特に音楽とか興味なかったけど、友達に誘われて吹奏楽部のドアを叩いた。
何を思って見学に行ったのか忘れたけど。
あと時の衝撃的な出会いは忘れられない。そして、君に初めて出会ったあの瞬間も……。
***
ーー6年前。中学一年生になったばかりの私は、右も左も分からない音楽の世界に入り込もうとしていた。
その世界に片足を突っ込んだのは、友達の何気ない一言だった。
「ねぇ。今日の部活見学、吹奏楽部見に行かない?」
入学して間もない頃。中学校でできた初めての友達の華奈と一緒に部活を見て回っていた。華奈とは同じクラスで話も合って、楽しくて。
その時から既に心を許していた、友達の1人だった。
「吹奏楽部?いいけど、私は興味ないよ?」
「見に行くだけでいいの!ほら、私文化部入部希望だから、一応全部見ておきたくて。お願い、付き合って!」
華奈はあまり運動が得意じゃないらしく、部活は文化部のどれかに入部希望だった。