ホームルームのために、先生が教室に入ってくる。その瞬間、ザワザワと騒がしかった教室が静かになった。


私もはぁ、とため息をついてから前を向く。



「はーい、じゃあ席に付けー。突然だが、今日転校生を紹介する!」



ーードクンッ。


ホームルームの前に、先生がそんなことを話すもんだから、またクラスメイトはザワザワと騒がしくなった。


先生の言葉に、大きく心臓が反応する。


この時期に転校生?


高校三年生の春に?


そんな会話がちらほら聞こえた。私もそのことを考えたけど頭の中が真っ白になって無駄に緊張していた。


……まさか、まさか……ね。



「ほら、静かに!出雲、入ってこい」


「……ッ、出雲、くん……?」



出雲という苗字。


先生の目配せとともに教室に入ってきたのは、紛れもなくこの前会った出雲くんだった。


私は息をするのも忘れて出雲くんを見つめる。彼を見て2度目のこの感情はいったいなんだろう。


……わけのわからない、気持ちが押し寄せる。