「……今、しれっと私の事貶した?」


「えー?なんのことー?」



華奈の手を握り喜んでいるとドヤ顔で失礼なことを言われた……気がする。


笑顔でたまに怖いこと言うから油断できないんだよね。



「まぁまぁ。今日も合奏前に自由な練習時間あるでしょ?その隙に行っちゃおうよ」



ジト目で見る私をスルーしてパチン、と可愛くウインクする華奈。


その時、タイミングがいいのか悪いのか分からないがチャイムが鳴った。華奈は、「約束ねー」と言いながら自分の席へ戻る。


華奈の自由なところは嫌いじゃないけどたまに振り回されるから、ちょっと迷惑なところはある。


でも……。



「次、出雲くんと会ったら何を話そう……」



今日の約束だけは、無性にドキドキして。早く放課後にならないかなとソワソワした。


そして、ふと窓の外を眺める。


空は相変わらず雲ひとつない青空が広がっていて、最高に良い天気だった。気分はあまり晴れてはいないけど、少しだけ心が軽くなったような気がする。