司会の人がステージ袖で、マイクを通して話し始める。私の緊張は最高潮に達した。


持っていたプログラムの冊子がくしゃくしゃになるほど強く握っていた。私は震える手でボールペンを持ち、ゆっくりと顔を上げる。


私の学校では結果が発表された時は、どの学校が次の大会に進むのかどうか、プログラムにチェックを入れることになっていた。


みんな、まっすぐとステージを見上げている。



「それでは、1番。県立第三中学校。……ゴールド金賞」



ーーキャーー!


一校目の結果が発表された。結果がわかった瞬間、後ろの方に座っていた生徒が悲鳴をあげる。


思わず後ろの方を振り向く。呼ばれた学校の生徒は手を取り合って喜んでいた。早速ゴールド金賞が出て、気持ちが焦る。何とか自分の気持ちを落ち着かせようと、深呼吸をした。


みんなこのために青春全部を注ぎ込んでいる。ゴールド金賞をもらって喜ばない人はいない。


全国大会への切符を掴む、最初の1歩だから。前に向き直り、またステージを見上げる。その瞬間。



「……最初からゴールド金賞がでたか」



私の前の席に座る顧問の先生がぼそっとつぶやいた。それを聞いて、また私は緊張が高まった。