2年前の僕たちは、全国大会を狙って部活に挑んでいた。だけど全国大会までの壁は高く、結局最後までは行けず地方大会で部活は終わってしまった。


後一歩のところでダメになってしまったけど後悔はしていない。みんな頑張って残した結果だから。


そして、その翌年には、地方大会の壁を突破してようやく全国大会の切符を掴んだと先生や吹奏楽部の後輩から、連絡をもらったのだ。その連絡をもらった時は、琴乃と一緒に喜んで抱き合ったっけ。


九龍ともお祝いの為に高校に足を運び、先生に挨拶したんだよな。



『琴乃、覚えてる?昔、運命の12分で全てを捧げても全国大会にいけない。神様は意地悪だねって言ったこと』



団体戦で挑む吹奏楽部にとっての12分は長いようで短い。その時間で今後の運命が変わるのだから、みんな必死になる。


どんなに練習時間を費やしてもその決められた12分に全てを捧げなければいけないのだ。



「覚えてる。衝撃だったもの。12分しか時間がなくて、その間に次が決まるって知って」


『今でもそう思ってる?』



琴乃が答えたあと聞いてみた。


部活が終わったあとはみんな別々の道を歩み始めた。その運命を決めるのだっていつも12分。


部活がいつ終わるかなんて運命に任せるか自分たちの努力をどこまで費やすかに定められる。



「ううん。思わない。自分たちが努力さえすれば結果は変わるってわかったから。たとえ目標に届かなくてもその努力は無駄じゃないと思うから、きっと神様は見ているだけなんだよ」