今日は琴乃とデートなので朝から準備をしていた。デートプランは前から決めていたけど、いつもデートの時はソワソワして落ち着かない。
待ち合わせ場所につき、琴乃を待っていると遠くである会場に楽器を搬入している学生が見えた。
よく見てみると他にもたくさんのトラックが周りに止まっている。
ぼーっと見ていると、肩を叩かれ、後ろを振り向く。するとそこには琴乃がいた。
「遅くなってごめんね」
と口パクと一緒に手話で言われた。そこまで待っていないと返すとほっとしたように笑う。
その笑顔を見て僕の心臓は甘く締め付けられた。
「何を見ていたの?」
『あれ、見てよ。今日大会かなんかかな?楽器を搬入してる』
遠くを見つめていた僕を不思議に思ったのか聞いてきたので手話で返すと琴乃も見た。琴乃はああ、と思い出したようにスマホをカバンから取り出す。
するとカレンダーのアプリを僕に見せた。
カレンダーの日付は6月最後の日曜日。そういえば、吹奏楽コンクールの日だった。だから楽器を入れていたのか。
「懐かしいね。私たちは結局地方大会までが限界だったけど2年前の夏は最高の最後だったよね」
楽器を見ながら琴乃はどこか懐かしそうに目を細める。