華奈は親と買い物する約束があるらしく、車を待つと話していた。私と出雲くんは電車で帰ることに。
久しぶりに2人きりで帰るのでなんか変に心臓がドキドキする。
「……久しぶりだな。琴乃と帰るの」
「そ、そうだね!」
駅のホームで電車を待ってる間ぼそりと出雲くんが話す。緊張してしまい、返事がたどたどしくなってしまった。
今までどうやって出雲くんと話していたっけ?
とわけのわからない感情が胸を支配して、気持ちがぐちゃぐちゃになる。部活の話をする時は余裕だったのに、それ以外になるとどう話したらいいか分からなくなる。
「なぁ、琴乃」
「はい!」
電車がホームに入った頃、また名前を呼ばれ反射で答える。
「何度言っても足りないから言う。ありがとう。琴乃。琴乃と出会えて僕は幸せだ。琴乃は一筋の光だった。ありがとう」
先に電車に乗り込むと出雲くんはそう言いながら手を差し出す。周りのザワザワとした騒音に負けないほど大きな声で話して。
恥ずかしいはずなのに、そんな気持ちはなくて。それ以上に胸がいっぱいで。涙を流しながら出雲くんの手をとって電車に乗り込んだ。
お礼を言いたいのは私の方。