ほぼはじめましてのメンバーと大会に挑むのだから、そう思うのは仕方ないと思う。でも出雲くんなりに音楽と向き合って、私たちの音と向き合ったのは決して無駄じゃない。


早穂ちゃんの言う通り、出雲くんが参戦すると決まった今とても心強く、大会を乗り越えられそうな気がしてきた。



「みんな出雲くんを受け入れたんだから、どんな音楽でもきっと納得するよ。出雲くんの音楽はすごいから」



出雲くんの音楽を聞いてみんな驚いていた。既に知っている子も涙を流すほど喜んで、聞き入った。



「琴乃の言う通り。私もそう思うよ。大丈夫。今年の夏はきっと長くなる。青春はすぐに終わらせないから」



みんなと駆け抜けた高校生活をきっと忘れることはないだろう。



「……だな。大事な大会をすぐには終わらせない。全国大会が僕らの目標だから」



華奈の言葉に出雲くんも私も頷く。お互いに目を合わせ、テーブルの真ん中で拳を突きつけ合う。


中学の頃、よくやっていた気合いの入れ方を思い出して、懐かしくなった。



「ありがとうございましたー」



日が暮れ始め、太陽が傾き始めた頃。私たちはファミレスの前で解散することになった。