「じゃあウチの部以外の人が演奏してるの?そんな人、聞いたことないけど……」
「まぁ、ね。私も聞いたことない。多分顔を見たらわかるんじゃない?誰が演奏してる……のか……え?」
華奈と話しながら中庭に続くドアを開け、奥へと進む。
そして、人影が見えた。立ち止まって、誰だろうと思って顔を覗気見た。その瞬間、私の心臓が止まりそうになるくらい大きな音を立てた。
ーードクン。
なんで、ここに、君が……いるの?
「こ、との……。ねぇ、なんでここに……“出雲くん”がいるの?」
「わかん、ない」
それは華奈も同じだったようで。
華奈は信じられない、と言ったふうに口元に手を当て、私の袖を引っ張る。
驚くのも無理はない。
だって、私も信じられないと思っているから。彼を見た瞬間、息をするのを忘れた。
時が、止まったように感じた。
そのくらい、衝撃的な“再会”だった。
「出雲くん……確か、吹部の推薦で県外の高校に行ったよね?というか、あれ、出雲くんだよね!?見間違い!?」