無言でメニューを見てお互いに飲み物と少しつまむものを頼んだ。そして、頼んだものがくるまで黙りこんだまま。
私はソワソワして落ち着かなかったけど華奈は出雲くんと目を合わせようとしない。
「……出雲くん、いつ吹奏楽部入部決めたの?」
いてもたってもいられなくなった私は沈黙を破るように口を開く。モヤモヤしたまま過ごすのはめんどくさいし嫌だから話をしたかった。
華奈は飲み物を飲むだけで話そうとしない。出雲くんはさっきまでの力強さはどこかへいってしまったみたいに小さくなっていた。
久しぶりに懐かしい仲間が揃ったのに空気が重すぎる!
「……琴乃と話し合いをした日だよ。カフェで、話した日覚えてる?実はあの時から考えてた」
私が聞くと必ず答えてくれる出雲くん。
そんな前から考えていたなんてと、私はびっくりした。まぁ、課題曲と自由曲を完璧に吹けるくらいだからそのくらい前に考えても不思議じゃない……か?
でも保健室で話した時はまだそんな雰囲気は全然なかった。むしろ私が引っ張り込めなくて落ち込んだほど。
「実は転校初日に顧問の先生から話は受けていて、楽譜は貰っていたんだ」
「……だからあんな完璧に吹けたんだ」