「今日はここで解散します。明日、学校に来たら昇降口にある楽器の搬入をお願いします。みんな、大会までもう少しだから今日はしっかり休んで疲れを取ってね」



ホールの外の開けた場所で、先生は解散を命じた。少し時間あるからこのまま学校に戻って練習しても良かったけど。


先生はそれを許さなかった。


たまにはしっかり休むことも大切だとみんなに話して今日は解散の流れになったのだ。


それには私も賛成していた。



「華奈。出雲くんのとこに行こう」


「……うん」



私は解散したあと、華奈に声をかけ出雲くんのところに引っ張る。華奈は随分泣いた見たいで、目は真っ赤に腫れていた。


久しぶりにこんな顔を見たかもしれない。華奈はきっと後悔したのだろう。出雲くんの事情も考えず、ずっと避けてきたこと。


その事情が明かされた今、華奈は出雲くんと向き合うのは気まずいのだろう。



「出雲くん、お待たせ」


「……悪いな。2人とも時間を取らせて」



少し離れたところにいた出雲くんに声をかけると顔を上げる。操作していたスマホをしまい、華奈を見る。



「九龍、久しぶりだな」


「……うん。久しぶり」