「君と再会したから、私はまた音楽と向き合えた。出雲くん、ありがとう」
……言いたいことは言い切った、と思う。ずっと言いたいけど言えなかったこと。合宿の時から考えても考えがまとまらなくて。
このままじゃだめだと思った私。
出雲くんと向き合えなくてもいいから話を聞いて欲しかった。自分の気持ちを……聞いて欲しかった。
話し終えた瞬間、何かが切れて涙が溢れそうになる。ここ最近は出雲くんのこととなるとすぐに泣いてしまいそうになる。
なんでだろうね。
「そんな、僕は……自分から音楽を捨てたんだ。なにもしていない。二階堂の思うような言葉を言ったつもりは無い。もう僕には……っ」
お礼を言って頭を下げた私に出雲くんは言葉をつまらせながら少しづつ話をしてくれた。
出雲くんの声を聞いたのはあの日、勧誘を断られた日から初めてかもしれない。久しぶりに聞いた声はやっぱりどこか弱々しくて。
自分の生きる希望を失ったような、そんなオーラを感じた。
「うん。大丈夫だよ。私、出雲くんの言葉を受け止めるから。君が嫌だと言っても私は向き合うって決めた。もう私たちに残された時間は少ないから。今を全力で駆け抜けるしかないんだよ」