何度部活を辞めたいと思ったか分からない。いっその事全部責任を放り投げてしまいたかった。


悔しい思いをするくらいなら音楽を辞めれば良かった。でも、高校に入学しても吹奏楽部に目がいって、気づいたらすがっていて。


結局、自分は音楽しかないんだなと思った。



「……」


「出雲くんのせいだよ。あの日、出雲くんに再会したから今の私がいるの。大会への気持ちを思い出せて、自分の欲を思い出して。みんなと向き合えたのは出雲くんのせい」



黙って私の話を聞く出雲くん。


私は一気に吐き出した。どこまで話そうか迷っていたけど結局全部吐き出して。


出雲くんのせいにして。


本当はお礼を言いたかったのに。心と考えることは矛盾していた。



「僕の、せい?」


「そう。出雲くんのせいでまたみんなと向き合えたの。あの日の言葉がなかったらとうの昔に部活をやめていたよ」



毎日毎日先生から叱責を受けながら合奏して。目標もないのにどれだけ頑張っても意味はなかった日々。


だけど、出雲くんと再会して中庭で、『本当はみんなと全国大会目指したいんだろ?二階堂のホルンを聞いていたから、よくわかる』と言われていなかったら、本当に吹奏楽部を辞めていたかもしれない。


……全ての責任を他の人に押し付けて。