こんなふうに自分が音楽に、仲間に向き合えたのは出雲くんのおかげ。私はいつでも出雲くんに支えられてきたんだから。
「私、出雲くんと再会できていなかったら、もうとっくの昔に音楽を辞めていたかもしれないの」
「は?」
スっと息を吸ってそう言ったあと。出雲くんがようやく顔を上げた。私が音楽を辞めるなんて微塵も思っていなかったのだろう。
相当驚いたような表情をして、私を見ていた。
「出雲くんと再会した頃、先生とぶつかりあったって話したでしょ?あのころはもう本当に大会とかどうでも良くて。部活も辞めたかった。多分みんなそう思っていた」
いい加減な部活をして、大会への気持ちはみんなバラバラ。きっと本気で目指したかった子もいたはずなのに、その気持ちを私が踏みにじっていた。
どれだけ頑張っても地区大会突破しかできなくて。もっと頑張れば良かったのに、その結果だけ見てその上を目指そうともしなかった。
“吹奏楽部の運命の12分”。
その12分に全てを捧げるのがなんかバカらしく思えて。先生に反抗ばかりしていた。
「でもやめなかった。……いや、辞めれなかったのかもしれない」