もう自分の力だけじゃ勧誘は無理だと思っていたけどもう一度話し合いをしてみようか?
そう思いながらおもむろにスマホを取りだした。そしてメッセージアプリをタップし、出雲くんの名前を探す。
確か出雲くんの名前は消してないはず。
消えていたとしてもグループのメッセージ欄から探せばいい。そう思いながらスクロールさせ、『まひろ』と書かれた名前のところで指が止まった。
ドキドキしながらメッセージのところをタップする。出雲くんとのメッセージは3年前で止まっていた。
私は何を送ろうかと数分悩んだけど。
自分のこの突発的な行動にどうしたらいいか分からず、結局なにも送れなかった。今更何を送ればいいの。
散々勧誘を断られたのに。
出雲くんのホルンを聞きたい?
声を聞きたい?
何を聞きたいの?
考えがまとまらなくなって頭が痛くなる。普段からあまり話さないのに、ここまでしつこくしてしまったらウザがられるだけだ。
「先輩、先に食堂行ってますね!」
「う、うん!午後も合奏あるからしっかり休憩とってね!」
スマホとにらめっこしていたら早穂ちゃんに話しかけられた。