今日のレッスンは2時間ほど。お昼を挟み、午後1時に終わる予定だった。
ただ、毎回熱がこもりすぎていつも時間をオーバーしてしまう。
それが先生だった。
「違う!ここはもっと控えめに!後裏打ち表になってる!リズム間違えない!」
……等と叱責とアドバイスを受けながらあっという間に2時間過ぎ去った。終わる頃はいつもみんなヘロヘロ。
飴と鞭が上手い先生程体力を消耗するものは無い。
「今日はここまで。大会まで時間ないけどできることはしっかりやってね。応援してます」
「「「ありがとうございました!!!」」」
先生の言葉一つ一つが胸の奥に染みる。
みんなでお礼を言ってから片付けを始める。この後は少し遅めのお昼ご飯が待っていた。
「二階堂さん、ちょっと」
「……?はい」
ホルンを磨いていると先生に呼ばれ、部屋の隅に固まる。私はなんだろう、と不思議に思いながらついて行った。
「二階堂さんって、出雲さんのこと勧誘してる?」
「……え?」
先生の言葉に息を呑む。
まさか先生から出雲くんの名前が出るとは思わなかったから。というか、知らないと思っていた。