早穂ちゃんの言葉に練習メニューを確認する。テーブルに置かれた小さな冊子にはこの3日間の練習メニューがみっちり書かれていた。
華奈と先生と相談しながら決めたこの練習メニューはほかの強豪校から見たらまだまだ甘いかもしれない。
でも、これが今私たちにできる精一杯の練習メニュー。大会前に体を壊したら元も子もないから、少し緩くしたつもり。
「それにしても朝から坂道ダッシュって吹奏楽部がやるもんじゃないと思ってました」
「あはは……確かに。今までそういう練習はしてこなかったもんね」
早穂ちゃんは冊子を見ながら苦笑い。
吹奏楽部って実は運動部よりも運動してるよね。合奏中もかなり体力消耗するし。
まぁ、私はもう慣れたからこれが当たり前。中学の頃はもっと厳しかったくらいだ。
「でも基礎基本が大事ってわかって良かったです」
苦笑いの後に言われた言葉。
早穂ちゃんは真面目な子だからこういうことも素直に言える。それってすごいことだよなぁと最近よく思うようになった。
「それなら良かった。それじゃあ着替えて走り込み行こうか」
「はい!」
頼りになる後輩に恵まれて幸せだなぁと思いながら朝のメニューをこなしたのだった。