衝撃の事実に驚きを隠せなかった。
先生が出雲くんの存在を知っていたなんて……。早穂ちゃんは私の報告をスルーして不思議そうに話す。
「やっぱり出雲先輩は無理か……。私、どうしても出雲先輩と吹奏楽やってみたかったんですけど……」
残念そうに目を伏せる。
その姿にズキっと胸がいたんだ。でも出雲くんの理由を知ってる身としてはこれからは無理には勧誘できないだろう。
というか、もう半分諦めていた。
多分私の話じゃ出雲くんを引っ張ってくることはできない。心を揺るがす何かがないと出雲くんは吹奏楽部に来ないだろう。
一度決めたことは曲げない彼なのだ。
きっと……自分はもう吹奏楽部に入れないと思い込んでいる。
「ごめんね。出雲くんを上手く勧誘できなくて」
「いえいえ!とんでもないです!むしろ勝手を言ってごめんなさい。先輩も困りましたよね」
自分の情けなさに思わず謝ると早穂ちゃんは首をブンブンと横に振る。
私よりも申し訳なさそうに謝る早穂ちゃんはいつもより小さく感じた。
「……変なこと話してすみません。じゃあ私はお風呂行ってきます」
気まずい沈黙の後、早穂ちゃんはお風呂に部屋を出ていった。