「……確かに、音が違うね」
鋭いことを言われ、ドキドキしながら早穂ちゃんと話す。どうしようか、と目を泳がせながらイヤホンを取った。
早穂ちゃんは私と出雲くんが知り合いだということは知ってるはず。
きっと何か聞いてくるに違いない。
「何かあったんですかね……。吹奏楽部の勧誘も断ってるみたいですし。もうホルンは吹いていないのでしょうか?」
「……え?勧誘?」
勧誘という言葉にまたドキッとする。
早穂ちゃんにはまだ勧誘の結果を伝えていない。華奈しかまだ知らない。いつ伝えようか悩んでいた程なのに。
……いつの間にか知っていたの?
「あ、すみません。なんか先生も出雲先輩のことを勧誘してるっぽくて。話を聞いてしまいました。先輩も勧誘はしてくださってるんですよね」
……先生も?
そんな話一度も聞いたことがない。先生からも出雲くんからもそんな話は聞かなかった。華奈も、何も言っていない。
「う、ん。断られちゃったけど……。先生も勧誘してたんだ」
「そうみたいですよ。なんか転校してきた頃から勧誘してるっぽくて。でもことごとく断られてるみたいです」