振り返ると、そこには同じ部活仲間で、中学からの友達の九龍華奈(くりゅうかな)がいた。


華奈はサックスパートの中で、テナーサックスを担当している。


さらに副部長も担っていて、私と二人三脚でこの3年間……いや、中学3年間を含め、6年間ともに過ごしてきた。


私にとってなくてはならない友達。


唯一、親友と呼べる友達だ。



「へー。さすがだね。私のパートなんか譜面が鬼のように難しくて。しかもソロパートもあるじゃん?だからみんなと揉めてんのよ〜」



気だるげそうに話す華奈。


私はへー、と相槌を打ちながら話を聞いていた。どのパートを演奏するかで揉めることはよくある話。


ソロパートがあるなら尚更。サックスパートに限らず、どのパートも必ず1回は揉めた事があるほど日常茶飯事。



「じゃあ余計にパート練習しなきゃいけないじゃん。パートリーダーの華奈がここにいていいの?」


「んもう!琴乃は真面目だな〜。大会まで時間あるんだし、今日くらい私のパートも各自だよ!それに、全国大会なんて本気で目指してないし?私はサックスが吹ければそれで十分よ〜」