みんなにはどのタイミングで話そうか迷っていたけどまさかここで言われるとは。私は思わず苦笑い。



「そうですね。最後の追い込みとしていいと思います」



私が返事をした瞬間、ザワザワと騒がしくなる音楽室。合宿なんて初めての試みだからどんな反応がくるか心配だったけど……。



「合宿?なんか楽しそう!」


「練習に集中出来る期間があるのはありがたいね!」



みんなの反応は良かった。


楽しそうに目をキラキラさせて、話している。だけどその合宿中にこなす練習メニューを知ってる私としてはちょっと心苦しかった。



「じゃあ決まりね。詳細のプリントは後日渡します。保護者の方の許可もほしいからちゃんと話をしていてね」



はーい、と先生の言葉にみんなが返事をする。強化合宿と聞こえはいいけど、その蓋を開ければ……地獄の練習が待っていることをまだ誰も知らない。


私だって正直嫌だ。


“山の宿に籠ってひたすら練習”だなんて。でも、全国大会いくにはここまでしないと。


そう思って私も心を鬼にして先生と練習メニューを組んだ。華奈も賛同しているから、このまま通すことになる。


華奈とふと目が合う。


周りの楽しそうな雰囲気にお互いに苦笑いするだけだった。