ーーパァーン!〜♪、♪〜……。


音楽室に響き渡る吹奏楽部の音楽。部員たちの息遣い。みんな真剣に楽器と音楽に向き合い、先生の指揮棒に目を向けていた。


だんだんと曲が仕上がってきて、大会までもう少しのところまで行った課題曲。


みんなが先生の言うことに、部長の私に真剣に耳を傾けてくれるようになった。



「……ストップ。うん、いい感じ。だけど全国大会までいくにはもっともっと曲に関して理解を深めないといけないわね」



一通り曲を吹き終え、先生はパラパラと楽譜をめくる。


先生の言う通り、私たちはまだまだ曲に関して理解を深めないといけない。向き合う時間が短すぎたせいもあって、地区大会は突破できてもその先がままならないだろう。


全国大会への切符を掴むためには地区大会、県大会、地方大会を突破しなければならない。


強豪校なら簡単にこなせそうだが弱小のウチは……とても高い壁になる。



「部長、地区大会までの練習メニューなんだけど、強化合宿を入れるのはどうかしら?外部の先生には私から連絡入れとくわ」



合奏のまとめを書き込んでいると、先生は私に話を振る。


少し前から、先生と華奈と話し合っていた合宿は、元々決まっていた。