私はため息をつきながらゆっくりと顔を上げる。



「……あります」



全国大会に行く気なんてサラサラない。だけどここで頷いとかなければさらに面倒がかかる。


私ももう高校三年生。


それくらい、気配りはできる。



「本気ならみんなをしっかりまとめてちょうだい!今日はもう合奏しません。各自譜読みからしっかりやり直してきて!」



私の言葉にまたため息とともにウザイ言葉が吐き出された。


はーい、というみんなのやる気のない返事とともに合奏はお開きになった。各自パート練習や自分で練習を進めることに。


私は自分のホルンパートを1回集め、各自で好きな場所で練習して、と指示を出した。


本音を言えばもう帰りたい。


やらなければいけないこともあるし。さっさと部活も辞めたいと思っていた。


だけど吹奏楽のコンクールは予選が7月から行われる。だから引退までほかの部活よりなかなか時間がかかるのだ。



「こーとの!パート練習じゃないの?」


「華奈(かな)。今日は各自で練習。私のパートはみんなできてるからね」