これ以上話がそれてはいけないと単刀直入に話を切り出した。
速攻で断られて、話し合いが出来なくなるかもしれない。そう思ったけど、これしか方法は思いつかなかった。
真正面から出雲くんと向き合うこと。
これしか、ないと思った。
「……理由は?」
「へ?」
「理由、なんかあるんだろ?僕は前に一度断った。でも、こうして二階堂がまた話を持ちかけている」
……どうして、そうなの?
日頃はぶっきらぼうで無愛想で、優しいなんて欠片もない雰囲気なのに。こういう時はちゃんと向き合ってくれる。
話を聞いてくれる。
「私たち、全国大会を目指すことにしたの。今の吹奏楽部の部長は私で、つい先月までは大会なんてどうでも良くて。でも……出雲くんと出会って、変われたの。やっと自分のやりたいこと目指したいことが見つかって」
出雲くんと話をしたから、今の自分の目指す場所を見つけられた。
最初からその目標はあったはずなのに、いつしかその目標ですら見失っていた。
「正直、私の力じゃ全国大会へ導ける気がしないけど。でも、どうしてもいきたいの。みんなと、出雲くんと全国大会に!!」