「じゃあ、話聞いてくれる?」
「……はぁ。わかった。聞くだけな」
子供みたいな態度をとった私に思い切り呆れたため息が吐き出された。そのことに一瞬ムッとしたけど、話が出来ることになりすぐに切り替えた。
引き止めてよかった。
……出雲くん、ごめんね。これから君が話したくないことも話してもらうかも。でも、これは必要なこと。
前を向くために、お互いに必要なこと。
「……で?話ってなんだよ」
「えっと……たくさんあるんだけど……」
「ひとつじゃないのか」
駅から少し離れたところにある、オシャレなカフェに入った私たち。話をするなら場所を変えよう、という話になりここに入った。
優しいBGMが聞こえ、雰囲気がかなり良いカフェだ。
お互いに飲み物だけ注文し、出雲くんと向き合うように座る。しばらく沈黙が続いたけど、先に話を切り出したのは出雲くんだった。
「だってしょうがないじゃない。いきなり出雲くんが目の前に現れたんだよ?最初見た時幻かと思ったもん」
あの日、あの時出雲くんに再会していなければ今の自分は無いかもしれない。