まるで私の心を見透かしたかのように言い放つ出雲くん。図星をつかれ、私は思わず立ち止まってしまった。



「……ちょっと。離せよ」



思い切り腕を掴んでいたせいで出雲くんも一緒にその場で立ち止まる。心底迷惑そうな表情をするけど、私はもう嫌な気持ちにはならなかった。


だって、まだ君には優しい心があるから。


どんなに冷たくされても、優しい一面を知ってしまったんだよ。たとえ、それが昔の出雲くんと違っていても私は嬉しかった。


本当に心がなくなってしまった人は、私を助けたりなんかしないから。



「……嫌だ。話を聞いて貰えるまで離さない!出雲くん、お願い。これが最後でいいから私の話聞いて!」



出雲くんに届くようにお腹から大きな声を出した。自分でもこんな声出せるんだ、とびっくりしてしまうほどの大きな声。


人目も気にせず、出雲くんを引き止めていた。だって、このチャンスを逃したらもう向き合えないと思ってしまったから。



「……おい、あんまり大声出すな」



さすがの出雲くんも懲りたのか周りをキョロキョロしながら止めに入る。