表情は再会した頃と変わりないけど私を見て話した時は少しだけ昔の出雲くんと重なった。


……やっぱり、出雲くんは優しいままだよ。なんでそんなふうになってしまったのか聞きたい。


何があったのか出雲くんから聞きたい。


そして出来ればもう一度吹奏楽部に入って一緒に音楽やらないかって誘いたい。


……今が、チャンスだと思った。



「「……」」



電車の中では気まずい雰囲気だったけど、心の中はそうでも無かった。1度決めたことは最後までやり切りたい私。


絶対に地区大会までに出雲くんを吹奏楽部に引っ張ってやる!


……そんなふうに魂を燃やしていたらいつの間にか降りる駅に着いていた。先に出雲くんが降りて私が後に続く。


ドキドキする心臓を抑えながら、先に行く出雲くんの腕を思いっきり掴んだ。



「い、出雲くん。ちょっと話があるんだけど……今いいかな?」



私の行動に驚いたのか数秒その場で固まる出雲くん。



「……悪いけど、僕はない。吹奏楽部入部の話なら断ったよな?そのことなら話は聞かない」