心の中は焦りまくり。周りにはたくさんの人がいるのに、こんなことしても大丈夫なの……?
「……二階堂?おい、きーてんのか」
ひとりで勝手にあわあわしていたらブチ切れ寸前の出雲くんに意識を取り戻させられた。
「あ、え、えっと〇〇駅。中学の頃と家は変わらないから、地元の最寄り駅だよ」
「あー……あそこか。一緒だな、降りる駅」
「……え?」
地元の最寄り駅を言ったらちょっとは会話できるかもしれない。そう思って期待してしまった。
だけど出雲くんからの言葉に驚く。
……そういえば出雲くんは家に帰ってるのかな。中学三年生の頃は高校に入学したら、寮生活するって言っていたけど……。
思えば出雲くんも地元は一緒なのだ。
ご両親が引っ越していなければ必然と同じ帰り道になる。いいことなのか、悪いことなのか。
頭の中はまた混乱してきた。
地元の最寄り駅まであと数十分。出雲くんに守られながら電車に揺られる。会話が途絶えてしまって俯いていたけど、もう一度顔を上げて出雲くんを見た。