ーーバンッ!!
大きな音が、音楽室に響いた。
「いい加減にしなさい!先生ばっかり頑張って、バカみたいじゃない!みんなの為を思って指導しているのに!特に三年生!!最後の夏の大会なのよ?あなたたちがしっかりしなくてどうするの!」
先生は指揮棒を乱暴にあげると、思い切り譜面に向かって振り下ろした。
ヒステリックな声を上げて、恩着せがましい言葉を言い放った。
……うるさいなぁ。
こっちは大会なんてどうでもいいんだよ。どうせ今年も地区大会止まりでしょ?
全国大会にいけるわけないじゃない。
全国大会にいけるなんて夢のまた夢。そんな願望、いつしかとっくの昔に投げ捨てた。
私たちはただ楽器が吹ければそれでいい。
そう思ってる人たちばっかりなんだから。
「二階堂!あなたはどうなの?全国大会に行く気、あるの!?」
「……はぁ」
二階堂は私の苗字。一応この部活の部長をしているので、私に振ってきたのだろう。
熱くなっている先生がうざくてしょうがない。