♢鉄板焼きで制裁



 パワハラ意地悪上司、山田一郎の元に、その夜、チーム半妖が現れた。月のあかりの元で幻想的に現れたのは和装姿の半妖の3人だった。この世の者とは思えない、特殊メイクを施したかのような容姿の連中が現れた。普通の人間は腰を抜かすだろう。闇夜の中であれば、なおさら不気味さと恐怖は高まる。誰一人周りには普通の人間がいないという状況だった。

「おまえら、なにものだ?」

 パワハラ上司は恐れながらも正体を聞く。

「チーム半妖だ。お前は執拗に部下に意地悪をしていた。因果応報を受けてもらう」

 腰を抜かし気味な男は、慌てて依頼主を聞き出そうと躍起になった。

「誰かに雇われたのか? 俺の会社の奴か? 山本か? 佐藤か? 鈴木か?」

「そんなに心当たりがあるのか。意地悪が大好きな人間には意地悪をしてやるよ」

 死神の姿になったエイトは銀髪の髪が背中まで延び、神秘的な恐怖を与える雰囲気を持つ。

「根性が足りないというのが口癖なんだろ。根性がたりないならば、根性焼きってのはどうだ?」

「いいね、ウチがこの人間焼いてみる」

 そう言うと、魔女の姿になったサイコが楽しそうに大きな鉄板焼きを持ってきて、男を乗せる。男はなぜか小さくなっており、容易に箸でつまむことができる大きさだ。

「た、助けて!!!!!」

 男は大声で叫ぶが、小さい姿では全く声は響かない。

「誰も来ないよ」

 植物あやかしの樹がとげのある植物を身にまといながらツタをのばし、男に巻き付ける。つたに巻き付けられた男は身動きが不可能になった。

「逃げられないようにしてあげるさ」

「制裁!!!」

 エイトの掛け声とともに――
 ジュージューという音を立て、男はそのまま抵抗も出来ず、鉄板で焼かれてしまった。

 翌朝のニュースで全身おおやけどを負って意識不明の男の身元を調査しているという話題になっていた。捜索願が出ていた山田一郎ではないかという警察では調査中という話だった。でも、100%その男が上司だということは、ニュースを見た依頼人の男だけが知る事実だった。原因不明で事件の真相を追っていると報道されていたのだが、きっとどんなに報道されても原因はわからないだろう。

 誰もチーム半妖のせいだなんて突き止められないし、証拠なんてないのだから。恨みを晴らしたから自分が即幸せになるものではない、自己満足かもしれないが、依頼人の男が、寿命が半分になったにもかかわらず、晴れ晴れした気持ちになっていたのは確かだ。