♢死への制裁



 半妖の怨みを晴らすための仕事を控え、エイトは支度をはじめた。

「さて、今日は簡単な作業だ。愛沢、頼む」

 エイトが愛沢に仇討ちの仕事を依頼した。

「はい、承知しました」

 眼鏡姿の漫画のアシスタントの愛沢とエイトは正装である和装に着替えた。山田の入院先の病院に向かい、山田の意識の中に話しかける。山田一郎は先日大やけどを負った男だ。こうも立て続けに同じ人にうらみを持つものが現れるとは日頃の行いが相当悪いのだろう。

 エイトの姿は銀髪の死神姿になり、地味女である愛沢からは、きつねの耳がのび、メガネを外し、着物姿のきつね女の姿に変化する。愛沢はきつね女の血を引く半妖だったのだ。父親が人間だということだろう。

「山田、お前は怨みを買いすぎた。すでに半分になっちまったお前の寿命の残り半分をいただきに来た」

「おまえは何者だ? 俺をこんな目にあわせおって!!」

 意識不明だが意識の中でならば会話ができるようだ。

「半死神だよ、じゃあこれでお前の命は消える。今、お前が怨みを買った人物の怨念を映像化して脳内に送信している。それを見ながら死んじまえ。制裁!!!」

 恐怖を与えて死んでもらうのが半妖の仕事だ。だから、ただ、酸素吸入器を外すだけでは仕事にならないのだ。そして、意識不明の男の反応がなくなり、モニターがゼロになった。全身大やけどの男が急死しても特に誰もおかしいなどとは思わないだろう。まさか、半妖たちの仕業だなんて思うはずがない。もし、周囲で不自然な死を遂げた人がいた場合はチーム半妖の仕業に違いない。だから、むやみに人から怨まれることをするものではないのだが、世の中逆怨みなど、得体のしれない怨みもあるので、自衛は難しい部分もあるのは仕方がない。