8月3日

 僕は人ができる事なら何でもできた。
 音楽も料理も勉強も、スポーツだって少し教えてもらえさえすれば人並み以上にはできるようになるから
 一定数僕を煙たがる人もいた。

 そんな僕が唯一出来なかったこと。
  
 さようなら
 
 それだけ書き残していった君を追いかける事だけは
 どうしてもできなかった。


8月4日

彼の事が好き。
だから彼が言うことを褒めて同意して。
彼が欲しいと呟いたものをプレゼントした。
彼の好きな音楽を沢山聴いて、彼のやっているゲームを練習してみた。
なのに。
「え〜私はこっちの方が好き〜」
そう言うあの子と喋る君が何よりも楽しそう。
笑っちゃう。
何やってるんだろ。私。


8月5日

皆が言う私への悪口、手に取るように分かるよ。
ネガティブだし、変なやつだし、かと思えばうるさいし。
分かる分かる。
悪口、盛り上がるよね。
だから嫌われないよう尽くしちゃってそれも逆効果。
一生1人でじたばたしてて、ウザイよね。
でもこれだけは忘れないで。
誰よりも1番、私は私が大嫌い。


8月6日

彼女はよく告白をされる。
その度に「ありがと」なんて言って、嬉しそうだ。

「好きだよ」
そう言ってみるけど
「君のは愛が1ミリも感じられなくて安心する」
僕に返ってきた返事。

彼女は泣いていた。
「人からの好意って私が受け取ってしまえばそれに価値は無くなるから」

「私は所詮その程度」


8月7日

あの日、私は浴衣を着なかった。
着崩れたり、髪の毛が乱れたり、足を痛めて空気を悪くするのが嫌だったから。
そして何より、一瞬だけの綺麗な私よりぐちゃぐちゃじゃない私を彼に見せていたかったから。
でも分かった。
今君の隣にいる、綺麗な浴衣を着たその子を見る貴方の視線を、私は知らない。


8月8日

寂しくて消えたい夜がある。
死にたいとは思わないけど、指をパチンと鳴らした瞬間「私」という存在がフッと消えてくれたらいいのにって。
でも私はわがままだから、そうやって消えた私を皆で探して欲しい。
それを見て「私って愛されてたんだ」って思いたい。

あーあ。そんな事できるわけないのに。


8月9日

ちょっとだけいいことがあった。
だから
「あぁ次は悪い事が起きるんだ」
って夜道、そうこぼした。
肩を並べて歩く君は何の穢れも知らない夜空を何の穢れも無い眼で見てこう言った。
「いつも頑張ってるからご褒美だね」
涙、見られたくなくて俯く私を茶化さずに君は続ける。

「ちゃんと見てるから」


8月10日

なんか、アウェイだった。
バイトのグループLINEで店長からの伝言を伝えたら、他の人がグループで喋った時より反応が少なかったから。
何となく、いつもシフトが被るあの子の反応が薄い気がしたから。
私、なにかしちゃったのかなって。
不安で不安で眠れない。
でも、どうせこれも

「考えすぎ」


8月11日

なんで泣いてるのかが分からなかった。
僕は君のことも愛してるし今隣にいる彼女の事も愛してる。
同じだけ愛してるのになんでそんなに泣くの?
隣の彼女は「信じられない」と怒っていた。
「また私は独りぼっちだよ」
涙を流しながら言葉を噛み殺して言う君に。
「違うよ。独りぼっちは僕の方だ」


8月12日

好きな人がいる。
1つ年上の人。
いつも冷たくて滅多に笑わない人。
なんでそんな人の事が好きかって?

「やば、体調悪いかも」
寝不足でクラっとする。「助けて」なんて言えない私はただ我慢するだけ。

「こっち。無理しちゃだめ」
そう言って手を引いてくれる君は淡白で、何よりも優しかった。


8月13日

彼女はネガティブだった。
口を開けば周りと自分を比べて勝手に落ち込んでる。
誰もそんなこと思ってないだろうし思ってたとしてもほっとけばいいのに。
皆に好かれようとして、少しでも冷たくされたらこの世の終わりくらい落ち込む。

なんかなぁ。
君を愛す人は僕だけじゃ物足りないの?


8月14日

「それどうしたの?」
ある日から急に私は手首にガーゼを貼るようになった。
「ちょっと火傷しちゃって」
ドジだな〜と言われるよう軽く言う。
違う。
本当は昔らからある傷を隠すため。

ずっと、この傷を愛せるのは私だけって隠さずいた。
でもネットで並べられる言葉達を見て、もう愛せなくなった。


8月15日

夜。
夜といえどもまだ暑くて、むしむしとした空間に流れる汗を感じる。
こんな暑い時になんで外を歩いてるかって?
それは、大好きな彼に会うため。
彼は夜が好きだった。
夏は特に「ワクワクするんだ」って。

だから今日も逢いに行くよ。
「やっほ〜」
そう言って、君が眠るお墓に手を振った。


8月16日

彼は優しい。
明るくて心強い。
太陽を擬人化したような人。
誕生日はすごく盛大に祝ってくれるし、病んだ時は親身になって話を聞いてくれる。
私もそれに応えたくて、沢山お返しをした。

彼のSNSを見つけて、ダメだと思って開く。
▷死にたい
1番最新の投稿。

そんな事を言う彼を、私は知らない。


8月17日

僕は偽善者が嫌いだ。
綺麗事も嫌いだ。
この世に溢れる「努力は報われる」やら「皆生きてるだけで偉い」やらに吐き気がする。反吐が出る。
本当にそうで、本当に生きてるだけで偉ければ僕は今幸せなはずだ。
そう思って天井をみる。

そうだよ。
本当にそうなら、僕は今こんな涙を流していないんだ。


8月18日

彼は本当に後ろ向きだ。
些細なことで「嫌われた」って口にする。
それもまた「ネガティブな事ばっかりでごめんね」って俯く。

気になるから聞いてみた。
「私の好きをいつ受け取ってくれるの? 」
彼は言った。
「いつも受け取ってるよ。でもその好きが今日まで持続してる自信が無いんだ」


8月19日

ゆりの花が好きだ。
花言葉とか関係なく。
今日、歩いてる時に見つけて一輪貰ってきた。
それを花瓶にいけて眺めていると花びらが1枚、もう落ちてしまった。
それをみて、思った。

「お願いします。言葉で私を傷つけるなら、どうか目に見える傷を。どうか。どうか」

私、そんなに強くないもん。


8月20日

彼女はいつも笑っている。
それに無邪気な一面もよく見える。

僕は人の心が崩れる音が聞こえる力を持っていた。 どうせ信じて貰えないから皆には内緒。
彼女からはその音が聞こえないからただ元気な子なんだと思ってた。

でも違った。
ある日、隠れて泣く彼女を見て気づいた。
「もう、割れてたんだ」


8月21日

今日は花火大会。

もう、ビックイベントは終わってるんだ。

そんな事を思いながら打ち上がる花火たちを見る。
綺麗だなぁ。
でも、気持ちに比例して視線が下がる。
その時たまたま見つけた。

差し出した絆創膏を君は申し訳なさそうに受け取る。
来年はきっと違う人から絆創膏を貰うんでしょ?


8月22日

好きな人がいた。
いつも冷静で、淡白で、必要以上のお世辞は言わない人。
でも、優しい人。
私なんかの小さな小さな良い所を探してそれを教えてくれる人。

「付き合って、欲しい」
そんな君からの告白。
涙が溢れた。

君とは、ずーっと友達でいたかったのに。
私の「好き」は皆と違うの。

8月23日

「バカにするのもいい加減にしてよ」
我慢の限界。
もう、無理だった。
勉強人並み以下。
運動人並み。
顔面偏差値圏外。
そんな私はしょっちゅう誰かが「面白い人」になるための餌だった。
それに1年耐えて、もう限界を迎えた私の悲痛な叫び。

1年耐えても、私はその一言で
独りぼっちになった。


8月24日

おやすみ。


8月25日

私の友達A。
顔が可愛い。
私の同期Bちゃん。
性格がいい。
私の後輩Cちゃん。
かっこいい。
私の先輩Dさん。
しごでき。

あれ、私だけ
なんもないじゃん。

低スペで皆に見捨てられるのが怖くて
今日も必死に
「いいよ。やるやる。全部やる。任せて」
目に見える存在意義を相手に押し付ける。


8月26日

占いとか診断とか全部信じていなかった。
「あんなの信じる方がバカでしょ」
いつもそうやって笑っていた。

【相性最高】
好きな彼との相性。
最高だって!
舞い上がって告白することを決めた。
「ごめん」
その言葉で思った。
あぁ罰が当たったのかな。
都合よく、私の願いが叶うことはないみたい。


8月27日

今日はあの子の誕生日。
高校生の時に生きる意味を無くし、命を絶とうとしたあの子。
ずっと「私は死に損なっただけだから」って言うけど僕はそうは思はない。

花を1輪買った後で「貰って困る物」にランクインしているのをみた。
肩を落として君に差し出す。
あぁ、泣かせちゃった。
センスないな僕。

8月28日

今日は誕生日。
あの時死に損なっただけの私にとって"生まれてしまった日"以外のなんでもない。

なのに、君は花を1輪差し出してきた。
「困るよね。ごめんね。でも、おめでとう」って。
それを見て、涙が溢れた。

私なんかの誕生日を祝おうとしてくれた事が、何にも変えられない程に嬉しかったから。


8月29日

あの子は私の優しい所が好きと言ってくれた。
別の子は私の頭のいい所が好きと言ってくれた。
また別の子は私の丁寧な所が好きと言ってくれた。
嬉しかった。
でも同時に沸き起こった感情は、不安。

だって、本当の私は頑固で頭悪くてガサツだから。
これを知った時でも皆は私を好きでいてくれるの?

8月30日

弟は僕に何を言ってもいいと思ってた。
自分の事は棚に上げて。
母は僕の話を面倒くさそうに聞く。
無視する時だって少なくない。
父は恐怖で支配する人だ。
大きな音を立てて不機嫌そうにするのは日常。

でも、ドラマみたいに家出して上手くいくわけがない。
だから、僕はこの箱から逃げ出せない。


8月31日

死んでしまおうと思った。
成績は伸びず部活ではメンバー落ち、髪も顔も酷いもんだ。バイトではミスばかり。おまけに好きな人に送ったLINEは既読無視。
もういいでしょ。
そう思ってお風呂場でカッターを取り出した。

それが昨日の話。
今日誰かに言われた「ありがとう」を胸に明日に備えて目を閉じる。


━━━━━番外編━━━━━━

珍しく同じ時を過ごしたいと思う人がいた。
今まではただお話してたら楽しいなくらいに思ってた。
けど、私よりも仲良しな人と話してるのを見て、そして心がモヤッとドロっとしたのを感じて、あぁ私この人好きなんだって気づいた。
でもこれは実らないと思う。

だって彼は私を家まで送らないから。



「髪の毛切ったんだ」
今朝、ロングだった髪の毛を肩上くらいまで切っていた君にそう言ってみた。
「ありがと」って返すから
「まだ似合ってるって言ってないよ。似合ってるけどさ」
そう茶化した。
でも、違う違うと首を振りながら君は続ける。

「変化に気づいて貰えただけでも、充分嬉しいの」



to doリストを作ってみた。
明らかにキャパオーバーで何故か涙が出そうになる。
でも私の頭の中で過去の人が口を開いた。
「お前が泣いたって誰も助けようと思わないよ」
「自分のせいなんだから被害者ぶるのやめたら?」

このおかげで辛くてもヘラヘラできるようになったと思えば、これも思い出か。



「死ぬのが怖い、って言う方がイタくない?」
日がほとんど傾きかけた学校の屋上。
君はそう言いながらなんの物怖じもせず宙に足をプラプラとさせた。
「死ぬのが怖いなんてその経験をした人しか分からないじゃん」
顔は見えない。けど
声は震えていた。

「私は、あんなに死にたかったのに…」



感情が表にでる人が苦手だ。
あの人達は自分勝手がすぎる。
機嫌が悪くなったかと思えば自分の好きな物の話はベラベラとよく喋る。
そいつらが言うんだ。
「羨ましいならそう生きればいいじゃん」

そうさ。
僕だって自分に素直に生きれたら。
そんな事を思いながら今日もまた空気を読んで笑顔を作る。



自分で言うのもなんだけど私、頑張ってる。
皆へ気を配って密かなサポートを心がけてる。
それが誰にも気づかれなくても。
そう思ってたのに。

「あの人には幸せになって欲しい」
そう慕われるのは可愛くて何でもこなす同期。
私がそう言ってもらうには、あとどれだけ頑張ればいいですか?
…もう、限界。



彼は、優しいを具現化したような人。
彼といると居心地が良くて「甘えすぎかな…」と不安になってもそれさえもそっと撫でてくれるような人だった。
だから彼にだけは素直になれた。

たまたま見つけてしまった彼のSNS。
▶マジで彼女は顔だけ
ゲーム友達との会話。

私から"唯一"が消えた瞬間だった。



私の話、聞いてくれますか?
じゃあ少しだけ。
得意なことは食べること。
よく食べます。
小さい頃から怖いことがあります。
それは孤独です。
誰かに悪口言われてる気がして、1人になれません。
皆「考えすぎ」って言います。

お願い事があります。
それは
「いつか"普通"を生きてみたい」