海に行くと、翔ちゃんはいなかった。
連絡先とスマホを取り出すも、彼の連絡先を聞いていない致命的な事に気がついた。もしかしたら、早かったのかもしれない。
いつも逢う14時まで待っていた。
でも、彼は来なかった。
しょうがなく、私は腰を上げ家に帰るとお母さんが電話口で感情的になっていた。
私に気が付いたお母さんがヒソヒソ声で先生と言った。
変わると意思疎通をし、電話を受け取った。
「石川か…?」
「はい、そうですが…」
「お前、いじめられているのか…?」
いきなり、先生は爆弾を撃ってきた。
「そうですけど…」
「何で言わなかった!」
机に爪でトントンとする音を立てながら苛々口調で言った。
「私、
 怖かったんです。先生は、気付いていて知らないフリをしているんじゃないかって。それに先生、私に友達がいないと思っているから。でも、安心してください。最近、友達みたいな人が出来たので。ただ、私が要求するのは1つ。"松永遥香を逮捕してください"」
「逮捕…?なぜだ?」
「彼女がしたのは、れっきとした犯罪です!暴行罪、傷害罪。それをみて見ぬふりをすると違う被害者が出てくるかもしれないんですよ!?」
はぁ、はぁと息が乱れているとお母さんが背中を擦ってくれた。
「石川、それは…」
先生の言葉に被せるように言った。この人は、通じないから。
「思い込みかもしれない!でも、これで自殺者が出たらどう責任を取るんですか!」
変わってとお母さんが言い、変わった。
「先生。その松永遥香さんという女の子は娘から聞く分に警察沙汰になってもおかしくない行為をしています。
そして、グルの子達も。罪になると思いますが…!」
その言葉を聞いて胸がジンと熱くなり、母は強しってこの事を言うんだと実感させられた。
「わかりました。校長に聞いてみます」
そこで、電話は切れた。
ふぅーっと息を吐き、こちらに顔を向けるとお母さんは頑張ったねと言い抱きしめた。
あの懐かしい温かい胸が伝わってきた。
また、泣いた。泣き虫みたいだ。
ご飯も、私と早夏が大好物のものをお母さんは作ってくれた。お父さんも仕事を早く切り上げたのかいつもより早かった。




美味しいと感じる傍ら、翔ちゃんの事ばかり考えていた。
それに、胸がざわざわと嫌な予感がする。
そういう私の予感はいつも的確にあたってしまうものなんだ。
これが嘘だと私は信じたかった。