「僕たちは、25歳だよ」

「に、25!?」

私は今18歳だと思っているのに、7年も経っているってこと?

ベッドの上で膝立ちになって、鏡台で自分の姿を見て見ると、駿ちゃん同様、顔立ちが変わっていた。

それに茶髪になっていて、胸まであった髪は肩までの長さになっている。

「実感湧かないよね」

「うん…」

「花菜ちゃんは遊園地に行った帰り道、事故に遭ってしまったんだ。その時に脳を損傷して、記憶が定着しなくなった」

「記憶が定着しない…?」

駿ちゃんの言葉を自分の声でなぞってみても、頭が追いつかない。

「そう。眠ったら記憶がなくなってしまうんだ。遊園地の帰り、僕が家まで送ってあげられたら良かったんだけど、色々あって一人で花菜ちゃんを帰してしまった。そこで事故に遭って、病院で目が覚めた時、花菜ちゃんはまだ自分は遊園地にいると思ってた」

「事故って、車に轢かれた…、とか?」

「うん…、でもその時のことは思い出さなくていいよ」

「そ…、そう、だね」

確かに事故に遭った時の記憶なんて、辛いに違いないだろう。