「花菜ちゃんが忘れても、僕は絶対に忘れない。

花菜ちゃんは僕の恋人だって、大好きだって、何度でも伝えるよ。

涙が流れたら、僕が拭う。

不安でどうしようもなくなったら、ずっと抱きしめて傍にいる。

記憶がなくなったとしても、僕が恋人だって信じられなくなっても、僕は花菜ちゃんに何度でも告白する。

僕の、恋人になってくださいって。

もしそれで振られても、離れたりしないから」

静かに僕の言葉に耳を傾けていた彼女は、最後の言葉だけは聞き捨てならなかったのか、すぐに否定した。

「私が、駿ちゃんを振るわけないよ。何を忘れても、駿ちゃんのことだけは、駿ちゃんを好きな気持ちだけは、忘れない」

涙を零しながらもハッキリと断言されて、知らずの内に笑みが浮かぶ。

「…うん、そうだね。忘れないね。お互いを想う気持ちだけは、何があっても」

「絶対に、忘れないよ」

「ありがとう。もう、僕にはそれだけで十分なんだ。

花菜ちゃんが…、大好きな彼女が、僕のことを好きでいてくれる。

それ以上に幸せなことなんてないよ」

夜が来なければいいと、ずっと時間が止まってほしいと願ったことも、もちろんある。

でも無情にも時は過ぎ、彼女は自らも知らぬ間に歳を取る。