正確には高校生の頃の私たちが、だが。
でも駿ちゃんからしたらもう7年も前の話で、覚えてはいないだろう。
そう思った矢先、駿ちゃんはその映画の上映時間を見て私に問いかける。
「この映画、前に見に行こうって言って結局行きそびれちゃったから、今日行こうか?」
「…覚えててくれてたんだ?」
「もちろん。花菜ちゃんとの約束は、全部覚えてるよ」
駿ちゃんはなんてことのないように言うが、それがどれだけ私を喜ばせていることか。
きっとこの気持ちだけは、駿ちゃんには分からないだろう。
「どこかでお昼を食べてから映画館に行こう」
「うんっ」
駿ちゃんに手を引かれてクローゼットの場所を教えてもらい、白いワンピースに着替える。
スカートの部分に黒いリボンが所々散らされていて、とても可愛らしいデザインだ。