その後は文庫本を取り出して、昨日の続きの物語を読み始めようとパラパラとそのページを開く。
すると、そこに挟んであった”あるもの”に目が留まった。
幼き頃、まだ優しかったお父さんとお母さんが作ってくれた”四つ葉のクローバー”の栞。
四つ葉のクローバーを中心に、淡い水色や黄緑色のシールが周りに散りばめられている。
確か、ゆいくんと四つ葉のクローバー探しをした後に『この四つ葉のクローバーで栞を作ってほしい』ってお母さんたちにお願いしたっけ。
栞をそっと、手に取った。
大切な大切な宝物。そして、思い出。
いつか戻るって思っていた。
優しかった家族。遠くの方に引っ越してしまった、ゆいくんにもう一度会えるって。
でも、そんな夢みたいなことは起こらない。
ゆいくんが今の私を見ると、どんな顔をするのだろう。
あの頃の自分とは正反対に写って見えてしまうかもしれない。
もし会えたとしても、今は合わせる顔がない。
過去のことなんて奥底に封じ込めていたはずなのに夢を見たせいで、思い出してしまった。
―――過去が、幼き頃が恋しい。
こんなことをずっと思ってはいけないと、首を振って気持ちを切り替えようとする。
片手で開いたままにしていた本へ集中しようと物語を読みながら、担任の先生が来て朝のショートホームルームが始まるのを待ち続けた。
うつむきながら、ぼーっとしているとホームルームが終わって、授業や休み時間がどんどん過ぎていく。
気がついたらお昼休みになっていた。休み時間になっても、教室移動のときも誰も話しかけてこないし、私も誰かに話しかけたりしない。
今年、高校に入学してからというもの友達ができなかった。他の子たちは、入学をするとすぐに新たなグループや仲間をすぐに作り出す。そして、その人たちと一緒ににいるのが当たり前になって行動を友にしたり、たくさんお喋りをしたりしているけど......私はひとり。この教室の異物として取り残されているかのように。
誰かと親しむこともなく、どこのグループにも属していない。たぶん、ずっとこのまま卒業してしまう頃になっても変わることなんて無いだろう。
このクラスで私は、空気のような存在だ。いるようでいないような幽霊のように。それすら、おこがましいことなのかもしれない。
もし、私が学校を休んだり、死んだりしても、きっと誰も悲しまないし、そもそも気にしない可能性の方が大きいだろうから。
すると、そこに挟んであった”あるもの”に目が留まった。
幼き頃、まだ優しかったお父さんとお母さんが作ってくれた”四つ葉のクローバー”の栞。
四つ葉のクローバーを中心に、淡い水色や黄緑色のシールが周りに散りばめられている。
確か、ゆいくんと四つ葉のクローバー探しをした後に『この四つ葉のクローバーで栞を作ってほしい』ってお母さんたちにお願いしたっけ。
栞をそっと、手に取った。
大切な大切な宝物。そして、思い出。
いつか戻るって思っていた。
優しかった家族。遠くの方に引っ越してしまった、ゆいくんにもう一度会えるって。
でも、そんな夢みたいなことは起こらない。
ゆいくんが今の私を見ると、どんな顔をするのだろう。
あの頃の自分とは正反対に写って見えてしまうかもしれない。
もし会えたとしても、今は合わせる顔がない。
過去のことなんて奥底に封じ込めていたはずなのに夢を見たせいで、思い出してしまった。
―――過去が、幼き頃が恋しい。
こんなことをずっと思ってはいけないと、首を振って気持ちを切り替えようとする。
片手で開いたままにしていた本へ集中しようと物語を読みながら、担任の先生が来て朝のショートホームルームが始まるのを待ち続けた。
うつむきながら、ぼーっとしているとホームルームが終わって、授業や休み時間がどんどん過ぎていく。
気がついたらお昼休みになっていた。休み時間になっても、教室移動のときも誰も話しかけてこないし、私も誰かに話しかけたりしない。
今年、高校に入学してからというもの友達ができなかった。他の子たちは、入学をするとすぐに新たなグループや仲間をすぐに作り出す。そして、その人たちと一緒ににいるのが当たり前になって行動を友にしたり、たくさんお喋りをしたりしているけど......私はひとり。この教室の異物として取り残されているかのように。
誰かと親しむこともなく、どこのグループにも属していない。たぶん、ずっとこのまま卒業してしまう頃になっても変わることなんて無いだろう。
このクラスで私は、空気のような存在だ。いるようでいないような幽霊のように。それすら、おこがましいことなのかもしれない。
もし、私が学校を休んだり、死んだりしても、きっと誰も悲しまないし、そもそも気にしない可能性の方が大きいだろうから。