「何やってるの‼
 あなたたち‼」


 そうして。
 行った、目の前に。


 いじめられている女子生徒、村瀬さん。
 その村瀬さんのことをいじめている松浦さんたち。

 そんな彼女たちのところに。


「あら、
 楚良(そら)さん、
 どうしたの、血相変えて」


「『どうしたの』じゃないでしょ。
 一人の人を相手に
 三人で寄ってたかって、
 そんなことをしてはいけないに決まってるでしょ」


「何なのそれ、
 そんな言い方されたら、
 私たちが村瀬さんのことを
 いじめてるみたいじゃない」


「『みたい』じゃなくて
 そうでしょ」


「違うわよ、
 私たちは楽しく話しているだけよ。
 四人で」


 松浦さんは。
「ねぇ、村瀬さん」
 そう言って。
 笑顔になっている、村瀬さんに。


 村瀬さんは。
 怯えている、そんな松浦さんに。
 見える、そんな様子に。



 村瀬さんの様子。
 それを見なくても。
 わかる、はっきりと。

 言っている、噓を。
 松浦さんは。