「離して、凪。
 やっぱり無理。
 見て見ぬふりなんてできない」


「こないだも同じことをして
 危険な目にあっただろ。
 損をするのは楚良(お前)だ」


「なにそれ。
 損とか得とかの問題じゃないでしょ」


楚良(そら)っ‼」


 私の手を握る凪の手。

 その手を振り払い。
 駆け上る、階段を。