「すごい、
あるんだね、こういう偶然」
え?
「同じなの、私と凪くんも。
和輝や楚良さんみたいに」
同じ?
私や新堂くんと?
「CDショップでね、
同じだったの」
何がだろう。
「私と凪くんが
買おうとしていたCDが」
おぉ?
それは、もしかして。
「ここまで話したら
予想できるかもしれないけど、
そういうことなの」
うん。
そういうことだよね。
「そのCDに手を伸ばしたタイミングが
凪くんと同じだったの」
やっぱり。
同じだ、全く。
私や新堂くんと。
品物が。
マンガとCD。
そういう違いなだけで。
「それで、
私と凪くんも約束したの。
ある程度CD聴いたら
貸すね、って」
なるほど。
同じだ、そういうことも。
「ちなみに、
CDを買ったのは私の方」
伊原さんの言葉に。
新堂くんは。
「すげぇな、なんか。
こういう偶然、なかなかないのに、
同じ日に身近な人にも起こるなんて」
そう言った。
そんな新堂くん。
している、わくわくした表情を。
見える、そういう感じに。