わからない、凪の心の中は。


 だけど。
 助けてくれた。
 それは事実。



「……ありがとう、凪。
 さっきは助けてくれて」


 だから。
 伝えたい、お礼は。
 そう思った、素直に。



 私と凪。
 あった、沈黙が。
 少しの間。


 その空気の中。
 出した、声を。

 染み渡らせる、少しずつ。
 そうするかのように。


「……あぁ、
 別に俺は何も……」


 凪はそう言いながら。
 掻いている、頭を。

 その様子は。
 照れている、少しだけ。
 見える、そのように。