松浦さん？


「どうした、松浦。
『やめない？』って、
　何をだよ」

「わかってるんでしょ、本当は。
　西園寺も」

「何がだよ、
　わかんねぇよ、全然」

「私は、
　わかってた、本当は。
　自分がしていること」

「おい、
　どうした、ほんと。
　なぁ、松浦」

「わかっていてもさ、
　できなかったんだ、やめること。
　一種の中毒みたいなものかな」

「はぁっ？
　なんだよ、それ。
　俺と松浦が一体何をしてたっていうんだよ」

「してたよ、いろいろと。
　私と西園寺は」

「何言ってんだよ、松浦。
　してねぇよ、何も」

「もういい加減、自覚しなよ、西園寺。
　やり過ぎていたんだよ、私と西園寺(私たち)は。
　クラス内で自分勝手な振る舞いを。
　そのせいで、
　クラスメートにも迷惑をかけたと思う」


　わかっていた、本当は。
　松浦さんは。


　だけど。
　どうにもならない、松浦さん(自分)では。

　利かなかった、心のブレーキが。
　そういうことだったのかもしれない。