声が枯れるまで泣き続けた。それでも涙は枯れる事を知らなかった。ぐちゃぐちゃな顔のまま、ほんの少し身体を離して言葉を紡いだ。
 
「無いものねだりだけどさ、やっぱり寂しいよ」

 月を求めているのと一緒なのは知っている。それでも私は貴方が好きだから。

「私はみづきを愛してるから」

 寂しいなんてもんじゃない。愛してるなんてもんじゃない。

「いつでも帰ってきてよ。……こういうの、ダメかな?」
「たまにはいいんじゃない。沢山ねだってよ」
「ありがと。……ねぇみづき。また会おうね」

 その言葉の末、私は彼に身体を預けた。


「おやすみ。また会おうね。……行ってきます」


 微睡みの中、そんな言葉が揺蕩っている。気がした。次の「ただいま」はもう少し長くても大丈夫。そんな気もした。