「う、、、う〜ん、、、」

 懐かしい夢を見た。十歳の時の現実。

『真央、起きろ』

 双子の兄さまである玲央が起こしてくれる。兄さまは朝が早いねと言うと、「お前が遅いだけだ」と怒られてしまった。

高校の制服に着替えて通学鞄を持ってリビングに向かう。リビングにはお母さんが座っていた。

「、、、おはよう」

「ご飯、さっさと食べなさい」

「はい、、、」

お母さんは私に対して冷たい。私がまだ幽霊を怖がっているっていうのもあるけど、、、一番は兄さまを殺してしまったのが私だから。

 重い空気に耐えて朝ご飯を喉の奥に押し込んで飲み込む。そして耐えきれくなったら、学校に向かう。

『、、、』

 通学路には色々なモノがいる。幽霊、妖怪、様々なモノ。全部が悪って訳じゃないけど、人に危害を加えるモノは憑き物落とし屋としては見逃せない。

「怖くない、、、怖くない、、、」それでもやっぱり、怖い。

どうして私は怖がりなんだろう?

兄さまは平気で憑き物を祓うのに、どうして私は怖がるのだろう?

どうして私は、、、

『真央、着いたぞ』

「え、、、!?」

 キーンコーンカーンコーン。

学校のチャイムの音。考え事をしているうちに自分の席に座っていた。

クラスメートの何人かが教室に走り込んでくる。

窓に目を向けると桜の花びらが何枚か散っていた。もうすぐ暑くなっていきそうだ。