「じゃあ、帰ろうか」
「うん」
僕は、先生と瑠璃との会話で手話をしていた。もしかしたら、僕も手話ができるようになったら効率が良いかもしれない。
そう思った。
瑠璃の家の近くに、ソフトクリーム屋さんがあった。
20年前には無かったものだ。
瑠璃は、ソフトクリームが好きだからついでに買っていこう。
ソフトクリーム屋さんに行くと、たくさんの種類があった。
「いらっしゃいませ、どれにいたしますか？」
店員さんが声をかけてきたので、瑠璃の好きなストロベリーと僕オーダーの抹茶を頼むと手際良くコーンに載せ渡してくれた。
お会計が済むと、瑠璃は近くのベンチでひと休みしていた。
瑠璃にソフトクリームを渡すと喜んで食べていた。
それにならって、僕も食べ進めていると瑠璃に鼻を触られた。突然の行為に、ビクッとしているとソフトクリームが鼻についていたと教えてくれて恥ずかしさに耳が真っ赤になった。そのことをしばらく瑠璃にからかわれた。





瑠璃の家に着いて、部屋を開けると先客が何故かいた。
「よぉ、紘一！」
「紘一くん、お邪魔してます」
進と唯だった。
瑠璃は、2人を見るとどうしたの？と手話で伝える。
それを見た2人は、瑠璃と紘一を驚かせようと手話で伝えると瑠璃の唇が尖っていて可愛いなと思った。
唯に、出掛けることを伝えるとOKをもらった。

その隙に、僕は書店へと向かった。
書店へ向かった理由には、本を捜すため。
文庫本とかそんなものではない。
手話の参考書だ。
一通り、新訂版のものを何冊か見繕い買った。
今、書店では本を1冊以上買うと海外旅行ペアチケットが貰えるかもしれないくじ引きの券が与えられるらしい。
僕は、3冊買ったので3回ひいた。
1回目は、残念賞。
2回目は、お好きな栞を一つ。
そして、3回目。
3回目は、なんと！
2等賞！
国内旅行ペアチケット！
当てると、店内に鐘の音が響き渡る。
僕は、ペアチケットなら瑠璃と行きたい。
そう思って、舞い上がっていた。