「おはよう皆。今日からドキドキワクワクな二年生だね。あはは、張り切っていこう」
報告祭の翌日、通常通りの授業がスタートした。
1限目前の朝のホームルームで薫先生がいつも通り進めていく。クラスメイトも先生も顔ぶれは一年の時と変わらずで、見慣れた光景だ。
「という訳で今日から授業が始まっていんだけど、その前に何人かに配るものがあるんだよね」
ふふふ、と何故か嬉しそうに笑った薫先生に、隣の席の嘉正くんが珍しく「あっ!」と興奮気味に声を上げる。
その時、教室の前の扉がガラガラと開き人の形と大きさをした薄っぺらい一枚の紙がピラピラと揺れながら中へ入ってきた。薫先生の形代だ。
その手には六つの桐箱を抱えている。
「袴配るから一人ずつ前においで」
そうか、色つき袴!
神職は階級によって袴の色が変わる。四級が白、三級が浅葱、二級が紫、二上級が紫に紫の紋、一級が紫に白の紋、特急が白に白の紋。巫女職の神職は四級からずっと緋色の袴だ。
ちなみに神修の体操服が白衣に白袴なので、四級だとあまり変化は感じられない。布地が分厚くなって袴の丈が少し長くなる程度らしい。
早速四級の白袴を受け取った来光くん達が「何が違うのか分からない」と不満をこぼしている。
続いて三級に受かった嘉正くんが浅葱色の袴を受け取った。感慨深そうに眺めている。