セルリアンとは『空色』を意味するラテン語が英語になったもの。
セルリアンブルー。『鮮やかな青色』のこと。
僕の大好きな色。
空はいつだって変わらない。
いつも、僕たちを眺めながら、その日の雲の質量だったり、カタチだったり、色だったり……その日に合わせて空は自分自身にぴったりの色をのせて彩っていく。真っ白な雲を散りばめながら。
──僕らに眺めてもらう為に。
いや、僕らが眺めることを楽しんでいるのかも。
僕らはただ眺めるだけ。
──眺めている僕たちだけが、移り変わっていく。
その時、掌に握りしめているものも
その時、溢れてしまった涙も
その時、隣に居てくれたあなたも。
わざと置き去りにした忘れ物も、ほったらかしにした紙屑も。
夢だけ描いた落書き帳も。
僕らが時に逆らえないのと同じで、空だって立ち止まったりしない。
いつも漂って、流れて、浮かんで、蒼く彩って。淡く揺れて。仄かに優しく光って。橙色のかおりに寄せられて。また藍色に堕ちて。
時に降り出す雨は、『涙』だって言う人がいるけれど僕はそうとは思わない。
降り出した雨は、いつも見上げ続けることに疲れて、踏みつけられて汚れてしまった僕たちを洗い流すため。
綺麗に優しく洗い流してもらった心は、またほんの少しだけ、煌めこうと前を向く。
──空って唯一の平等。
昔、だれかが笑って言ってた。
そうだね。見上げて、ただ笑ってればいいのかも。
誰もに等しい空なか僕は思いを馳せて、心に膜を張って、風船みたいにいつか舞い上がることを夢見て。
……いつかね。たった一度でいいから。
僕の冴えない心を、空の青色いっぱいに包み込んでほしい。
またね。
2022.4.14