今日は大晦日。12月31日である。もう、明日からは昭和18年。時間が経つのは早いものだ。私はいつものように布団からゆっくりと起き上がり、1階の居間にある食卓に置いてあったお白湯を飲む。
「おはようございます」
「おはよう千恵子。今日は大晦日ね」
「そうだねえ、お母さん」
「煮しめは夕方から作りましょうか。沼霧さん、そば粉ってあったかしら」
「ありますよ!」
今日の夕食は煮しめと年越しそばだ。これは楽しみである。
「せっかくだし、明日の分も合わせて天ぷら作らない?」
と、いきなり母親が提案してきた。
「天ぷらですか?」
「お母さん、あんまりそういうのは……よくないんじゃ」
「ここからお隣さんまで結構離れてるじゃない。匂いは届かないでしょ」
「まあ、そうだけど……」
今、この日本と言う国は米英と戦っている最中である。「ぜいたくは敵だ」という呼びかけの下、人々は質素な生活を心がけている。
天ぷらは……ぜいたくになるんではないだろうか。脂ものだし。
「さつまいもとか野菜なら大丈夫じゃないの?大晦日と正月くらい、ぜいたくしちゃっていいでしょ?」
結局華族出身の母親からの圧と自身の欲に負け、ちょっとくらいはぜいたくを満喫する事が決まったのだった。
ちなみに当の母親はうきうきしながら正月用のお餅を貰いに行ったのだった。
(どうせお父さんと弟達は豪勢な料理食べてるだろうし)
煮しめの準備が始まったのは、15時過ぎ。煮しめに入れるのはニンジンと里芋と大根と厚揚げ。
「まずは野菜から切っていきましょうか」
にんじんと里芋、大根を洗って皮を剥いてからざくざくと一口くらいの大きさに切っていく。
次に厚揚げも一口くらいの大きさかつ長方形に切る。これで具材の準備は終わりだ。
「これで煮ていくんだっけ」
私は流しの下にある棚から、大鍋を取り出す。この大鍋を水で洗ってから、具材を入れて醤油を入れて煮込む。
「これ、入れます?」
沼霧さんが用意してきたのは、父親が仕送りで送ってくれた珍しい砂糖。若干茶色い色をしている。
「入れようかな」
「そうですね」
砂糖も少し入れて、水もちゃんと足してからことこと煮込んでいく。
「楽しみだね」
あやかしと沼霧さんと共に、出来上がりを楽しみに待つ。
「おはようございます」
「おはよう千恵子。今日は大晦日ね」
「そうだねえ、お母さん」
「煮しめは夕方から作りましょうか。沼霧さん、そば粉ってあったかしら」
「ありますよ!」
今日の夕食は煮しめと年越しそばだ。これは楽しみである。
「せっかくだし、明日の分も合わせて天ぷら作らない?」
と、いきなり母親が提案してきた。
「天ぷらですか?」
「お母さん、あんまりそういうのは……よくないんじゃ」
「ここからお隣さんまで結構離れてるじゃない。匂いは届かないでしょ」
「まあ、そうだけど……」
今、この日本と言う国は米英と戦っている最中である。「ぜいたくは敵だ」という呼びかけの下、人々は質素な生活を心がけている。
天ぷらは……ぜいたくになるんではないだろうか。脂ものだし。
「さつまいもとか野菜なら大丈夫じゃないの?大晦日と正月くらい、ぜいたくしちゃっていいでしょ?」
結局華族出身の母親からの圧と自身の欲に負け、ちょっとくらいはぜいたくを満喫する事が決まったのだった。
ちなみに当の母親はうきうきしながら正月用のお餅を貰いに行ったのだった。
(どうせお父さんと弟達は豪勢な料理食べてるだろうし)
煮しめの準備が始まったのは、15時過ぎ。煮しめに入れるのはニンジンと里芋と大根と厚揚げ。
「まずは野菜から切っていきましょうか」
にんじんと里芋、大根を洗って皮を剥いてからざくざくと一口くらいの大きさに切っていく。
次に厚揚げも一口くらいの大きさかつ長方形に切る。これで具材の準備は終わりだ。
「これで煮ていくんだっけ」
私は流しの下にある棚から、大鍋を取り出す。この大鍋を水で洗ってから、具材を入れて醤油を入れて煮込む。
「これ、入れます?」
沼霧さんが用意してきたのは、父親が仕送りで送ってくれた珍しい砂糖。若干茶色い色をしている。
「入れようかな」
「そうですね」
砂糖も少し入れて、水もちゃんと足してからことこと煮込んでいく。
「楽しみだね」
あやかしと沼霧さんと共に、出来上がりを楽しみに待つ。