思わず、抗議の声を上げてしまった彩葉を冬司は鋭い目で睨みつける。
「なんだ、私の決定に異議があるのか?」
急に低い声で言われ、びくっと体がはねる。
「いえ、な、なんでもありません.......」
「では、決まったところで、明日入内することでいいな?」
(明日って......そんな急な......)
そう、言いたくなったけれど、すんでのところで我慢して、頷く。
「......承知、いたしました」
(お父様には私の気持ちなど、関係ないんですね)
父が、満足そうに頷くのを見てから、彩葉はゆっくりと、部屋を出た。